1st.『FURTHER ALONG』1993/09/01発売・PSCR-5040
スパイラルライフの記念すべきデビューアルバム。初回限定:豪華化粧箱仕様  (last update 2001/01/27)

スパイラルの作曲陣は“freaks of go go spectators”となっているが、その正体は車谷&石田のことである。 この1stアルバムでは基本的に石田作曲・車谷作詞、リードヴォーカル車谷となっている。

1. LIFE IS SPIRAL
2. MOON RIDE 記憶への着陸
3. ANOTHER DAY,ANOTHER NIGHT
4. RASPBERRY BELLE
5. GOING UNDERGROUND 地下鉄でいこう!
6. CHRONICLE 星のクロニクル
7. THE ANSWER
8. TURN!TURN!TURN!
9. I DON'T BELIEVE 日曜日はタイクツ
10. FURTHER ALONG もっと遠くへ


■解説 1.LIFE IS SPIRAL 記念すべきデビューアルバムの1曲目。石田曰く「B級ギターサウンドをやりたかった」とのこと。 バージョン違いが存在する。(→『FREE TRACKS』「今までこの仕事をしてきて、いろんな葛藤があってここまで来た。詞にはその辺の戯言が出てます」(車谷) 「一発録りにちかいバンドっぽい音。リズム隊が最高!」(石田) 2.MOON RIDE 記憶への着陸 「最初のテーマは、ジーザスジョーンズがビートルズをやったらどうなるか、みたいなところで。 それが生のリズム隊とコンガが入ってアシッドジャズよりにまとまった。」(石田) 「地下室でゴーゴーが踊れるような雰囲気」(車谷) 3.ANOTHER DAY,ANOTHER NIGHT デビューアルバムと同時に発売になったシングル曲。2人で作った最初の曲”だそうです。 2人が初めて会ったときに石田がこの曲の入ったテープを車谷に聴かせたというエピソード有。 「最初はシンプルなラブソングだったんだけど、オルガンやピアノを入れていく度に膨らんでいった」 (石田) 4.RASPBERRY BELLE The BYRDS等その辺をふまえつつ作ったフォークロック+グランジな曲、とのこと。 2人は“綺麗なメロディーであるほど汚い音を入れようとする癖がある”(車谷)らしい(?) “「ラズベリー・ベル」という醒めた美少女のイメージから膨らませていった曲です”(車谷) 個人的には“凍る言葉の海で、融け出す〜”あたりにグッときちゃいます。石田のコーラスがとにかく絶妙。 ●この曲のコーラス(“凍る言葉の海で”のところ) 「(融け出)すー       す べ   てー     」    (I can still hear your voice   call my name) (1994年5月「sound of my generation」ツアーパンフより引用) 5.GOING UNDERGROUND 地下鉄でいこう! 実際に地下鉄に乗って、ウォークマンで聴くといっそう雰囲気が出てよい曲ですね。 このタイトルの元ネタは THE JAM“Going Underground”で イントロは the beatles“Getting better”より。 “この曲で好きなのは、僕とクルで弾いてるコードが違うところがあって、AとGのぶつかるところの匂いがちょっとイイかな”(石田) “ゾンビーズチックなオシャレなコード進行(笑)僕の持ってる雰囲気がちょっと地下鉄(=アンダーグラウンド)な雰囲気っぽいかなっていうところで”(車谷) 6.CHRONICLE 星のクロニクル この曲だけ石田がリードボーカルを取っている。このころから石田の夢みる世界の片鱗が見える。 スクーデリアほど濃くない、軽快な歌い方が印象深い。 イントロと間奏の元ネタ: the beatles “strawberry fields forever” “僕のウィスパー(ボイス)ぽいのが要所要所に薄く絡んでくる、その2人のヴォーカリストの 色の対比みたいなものが見え隠れするかな”(車谷) “詞はレイ・ブラッドベリーの小説『火星年代記』のストーリーに寄り添わせてみたという感じで、2人で書いていったものです”(石田) 7.THE ANSWER 打ち込み主体のループ物。 この曲にも別バージョンが存在する。(→『FREE TRACKS』) 詞には、反戦的、ドラッグ的な意味を見せながら、それらはすべて自然の成り行きに任せた流れだ、 ということを書いたと車谷は言っている。 “でもどれだけオケで遊ぼうと、2人の声があればスパイラル・サウンドになる。それが僕らの一番の強みですよ”(車谷) そして完全に余談ですがスパイラル後期のライブでの車谷の腰フリダンスが忘れられないのは私だけでしょうか; 曲の元ネタは Primal Scream“come together” 8.TURN!TURN!TURN! THE BYRDSの曲に同名の曲が存在する。曲は全然違うが・・・。 “これも全編サイモン&ガーファンクルっぽい匂いがけっこうある。”(車谷) 詞的には“結局は消えて行くんですけど、こう一生を振り返ってみましょうと”(車谷)との 通り、死ぬときに昇天する時はこう、フワッと逝くのかな?というイメージがします(謎) この曲の元ネタ:the lightning seeds“all I want” ※strawberry switchblade“Since yesterday”の方が似ているというご指摘をいただきました(2001/01/27) 9.I DON'T BELIEVE 日曜日はタイクツ “バート・バカラックな世界。日曜日の午前中に聴いてもらうといいですよ”(車谷) 曲は“ソリッド・ブラスというバンドにホーンアレンジしてもらったら数百倍良くなった”(石田) そうです。 詞からは(恋愛に限らず)何かに惚れた(はまった)時の「しまった!」という気持ちが浮かびます。 10.FURTHER ALONG もっと遠くへ “僕の25年間のビートルズの全てをぶち込んだ(笑) スパイラル版「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」「マジカルミステリーツアー」というべき曲。 詞の面から見ても鍵だね”(石田) “1950年代に資本主義に疑問を感じたビートニクス詩人がサイケデリック・バスに乗って放浪した、 その先が「further」(遠くへ)だったということからインスパイアされた曲です”(車谷) どこよりも遠くへ行こうとする固い意志。スパイラルのこれからの決意がほのかに見える曲。 そしてここからスパイラルライフ、2人の旅は始まった。
参考・引用文献:「B-PASS」1993年?月号(9月号あたりか?)、『渋谷系元ネタディスクガイド』(1996/太田出版刊)
FURTHER ALONGの思い出 3枚のオリジナルアルバムの中で一番聴きこんだアルバムです。歌詞カードボロボロです。 すり込み現象とでもいうのか、どのアーティストでも一番初めに聴いた曲(アルバム)が一番好きに なるということがよくありまして、スパイラルでもその例にもれません。 基本的に「車谷作詞・石田作曲、リードヴォーカル車谷」となっているので、3枚のアルバムの中で 一番統一性があるアルバムだと思います。(注※2nd以降はそれぞれが作詞・作曲を手がけている) このアルバムは休日に、家でのんびりしながら聴く、または自転車に乗ってCDウォークマンに入れて聴く、 などのシチュエーションに最適だと思われますが、どうでしょう。
スパイラル楽曲解説『spiral move』に続く。 スパイラルトップページにもどる。